音楽療法における対話 – その役割とかたち

著者

  • Carl Bergstroem-Nielsen Aalborg University 1983-2014 ; SUKA (Copenhagen) 1984-2014

DOI:

https://doi.org/10.15845/voices.v15i2.771

キーワード:

コミュニケーション的音楽性, 対話のかたち, 時間のレベル, 比喩, 比喩的記述, 三次的プロセス(tertiary process)

要旨

対話は、知識を獲得する上で基本となる人間の営みである。[本論ではまず]対話について、出生前のものから成人の話者交替にわたり、心理学的に説明する。[次に]その健全な機能を評価するための尺度が考案され、音楽における相互やり取りの側面を明らかにするための会話分析が紹介される。症例場面では、知的障碍を持つ私自身のクライエントとの様々な種類の対話の例を挙げる。ローン(Lone)は、重度の自閉的行動があるにもかかわらず、話者交替に焦点を当てた訓練が可能になった。デニース(Dennis)には話者交替の訓練と編曲された歌の演奏の両方を取り入れた。後者は、イニシアチブが必要な場面で、比較的確実な状況を作り出すという目的で使われた。アシンメトリックな対話は、対人接触に障碍を持つクライエントが持つ困難に取り組むためのものである。反応がほとんど得られないという状態に対処するアイデアが述べられる。[また]時間のレベルの階層的モデルが提示されるが、このレベルはセッションの活動と連動している。構造を維持することと、起きてくる状況に臨機応変に対することとがその目的である。結論として、場面で記述された対話の形式「定期的な話者交替」「瞬間的なレベルにおけるコミュニケーション」、「アシンメトリックな対話」を比較する。[最後に]将来的に研究の可能性がある分野として、人間の心理の意識的・潜在意識的相互やりとりや、異なる対話レベルがどのように同時に機能するかといったことが挙げられる。

Author Biography

Carl Bergstroem-Nielsen, Aalborg University 1983-2014 ; SUKA (Copenhagen) 1984-2014

Carl Bergstrøm-Nielsen has practised music therapy with clients suffering from intellectual disabilities in Copenhagen, Denmark at SUKA (Special Education in Copenhagen Region) 1984-2014. He also has taught intuitive music (improvisation and composition training) and graphic notation (aural scores) at Aalborg University 1983-2014 as an assistant teacher.

出版済

2015-05-05

How to Cite

Bergstroem-Nielsen, C. (2015). 音楽療法における対話 – その役割とかたち. Voices: A World Forum for Music Therapy, 15(2). https://doi.org/10.15845/voices.v15i2.771

巻号

セクション

Columns and Essays