シチュエイション・ソング - 小児の音楽療法におけるその療法的意図と使用について
DOI:
https://doi.org/10.15845/voices.v14i2.744キーワード:
シチュエイション・ソング、小児の音楽療法、療法的意図要旨
この研究の目的は、ある特定の即興メソッド使用の背景にある様々な療法的意図を調査することである。このメソッドは小児領域の音楽療法に適用されているもので、シチュエイション・ソング(ドイツ語でSituationslied Plahl & Koch-Temming, 2008, p.180による)と呼ばれている。Plahl & Koch-Temmingによると、シチュエイション・ソングという言葉は即興された歌のことを表していて、療法士、そして/あるいは子どもによって歌われるものである。その歌は療法的関係の中のその瞬間に実際に起きていることに関連するものである。本研究では療法士の歌唱のみに焦点を当て、このメソッドの使用に関する様々な意図を探る。
研究は以下の手順を踏む。すなわち、筆頭研究者(Kolar-Borsky)のシチュエイション・ソングの臨床経験の詳述(事前了解〔preunderstanding〕として)、関連する文献の系統的分析、そしてデンマーク、オーストリア、ドイツの3人の音楽療法士との半構造化インタビューである。解釈学の原則にのっとり、柔軟な研究アプローチがとられる。
研究の結果からは、小児領域の音楽療法士は定期的にシチュエイション・ソングを使っているが、とくに発達的初期にある子どもによく用いていることが示されている。シチュエイション・ソングを用いる様々な意図は、以下のように要約される。療法的空間を創り出す;療法的関係を支える、感情/行動/表現/社会的スキルといった領域の経験と発達を促す;言語によるメッセージを表現して子どもに構造を与える。シチュエイション・ソングの全体的な目的は子どもの発達を支えるために不可欠な経験を提供することである。
この研究は、音楽療法に応用されている臨床用語をより国際的に交流させることへの試みである。筆頭研究者Kolar-BorskyのAalborg大学(デンマーク)の音楽療法修士論文として提出され、共同研究者Holckはその指導教員である。
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