アレヴィー派を理解する方法としてのサズ
DOI:
https://doi.org/10.15845/voices.v17i3.925キーワード:
アレヴィー派、サズ、バーラマ、アレヴィー、音楽、ハスレット・ギュルテン、パフォーマンス研究、楽器、音楽パフォーマンス要旨
アレヴィーとは何者か、アレヴィー派とは何かということを深く理解しようとすればするほど、その複雑性を露呈してしまうに過ぎない。しかしながらこの曖昧性は、本論文が答えを求めようしているものに関する議論の本質といってよい。それはすなわち、音楽やサズを単なる民間伝承の表現に留めておかずに理解の一様式として用いながら、どのようにすればアレヴィー派の複雑性を理解できるか?という問いに関する議論である。アレヴィーとしてのアイデンティティを持つ人々にとって、音楽、特にサズは、アイデンティティ形成の中心的な役割を果たしている。アレヴィーは、彼らの宗教儀式の中で、音楽や舞踊を用いる。従って、彼らの習慣はトルコ人の多数を占めるスンニ派の習慣と対照的である。この意味から、宗教伝統の中に音楽を持ちこむということに関してトルコという国家は否定的であるため、音楽を持ち込むことは正式に認められない宗教的行為であり、純粋に文化的行為として見なされがちである。サズの重要性を強調することは、楽器の文化的暗示と宗教的暗示の橋渡しをする狙いがあり、アレヴィーを定義する複雑性を理解する上の橋渡しとしても隠喩的に(例えとして)役立つ。本論文の最後に示したパフォーマンス作品を理解するためには、文脈にあてはめて考えることが必要不可欠である。この箇所は、アレヴィーの歴史上の残虐行為による犠牲者であるアレヴィーサズ奏者によって作曲された作品から何を読み取り、何を聞き取ったかを読者に考えるよう促している。ビデオには、“Güle Yel Değdi(風にそよぐバラ)”という歌、その作曲者Hasret Gültekin、およびアレヴィー派一般に関するそれぞれの見解を述べている研究参加者の発言が続いている。
※訳注
アレヴィー派:トルコおよびブルガリアのトルコ人やクルド人の間にみられるイスラム教の一派。
サズ:イラン・トルコ・バルカン半島諸国で一般的な、長いネックを持つリュート属の撥弦楽器のこと。Downloads
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