アイリッシュワールドミュージックカフェ：持続可能な社会統合の手段としてのパフォーマンスと録画記録

要旨

アートベースのこのエスノグラフィー的研究は、「Elikya」「アイリッシュワールドミュージックカフェ」という２本ビデオとそれに伴うレポートで構成されている。これらは、新しく生じた移民コミュニティーに対し、継続可能な社会統合を目指したライブ音楽パフォーマンスとビデオ録画の持つ可能性を探求している。本研究は、アイルランドのリメリック市で行われたアイリッシュワールドミュージックカフェと呼ばれる先駆的な取り組みの調査を基盤としている。このカフェは、新しい移民たちと都心部のリメリック住民のための、ソーシャルシンギング（社会的な歌唱活動）を広める地域密着型のイベントである。本稿は、持続可能な社会統合をサポートすることにおいて、音楽（特に歌唱）が果たす役割が増加している実態について論じ、また、２つのビデオを基にしたプロジェクトも報告している。1本目のビデオは、カフェのライブパフォーマンスを撮影したもので、２本目はElikyaというカフェと関連のあるコンゴ人音楽グループに焦点を当てている。また、このカフェのようなライブパフォーマンスイベントを支援し普及させるために、ビデオドキュメンテーション（映像記録）の重要性がますます高まっていることにも触れる。Turinoの文化形成と文化の類型のカテゴリー（2008）を引用し、ライブイベントとしてまた録画記録された出来事として、新たな価値の可能性と社会変革の進展に寄与するカフェの役割について論じている。