音楽療法における新植民地主義:難民との音楽療法実践に関する文献の批判的・解釈的統合
DOI:
https://doi.org/10.15845/voices.v16i3.865キーワード:
難民, 新植民地主義, 批判的・解釈的統合, 音楽療法要旨
本稿は、音楽療法士が難民とのしごとを記述する際に影響を与えている前提について探り、批判的・解釈的統合を行った結果を呈示するものである。音楽療法の文献は、この職業が、他のサービスではしばしば接近を阻んでしまう文化的言語的障壁を乗り越えることで、難民領域のヘルスケアのニーズに対処する独自的な適合性を持っていることを示唆している。しかしながら、アイデンティティを政治的パワーによって決定づけられ、心的外傷という特徴を持つ人々と向き合うには、音楽療法実践がこうした力に抗する地点に立ち、エンパワメントの機会をもたらすことが必須である。そこで、国際的文献の中から難民との音楽療法実践を記述している11の論文を検証して調べ、音楽療法士によって用いられた言語の中に埋め込まれている前提を特定する。データとそれに続いて行われた情報に基づく分析からは、「新植民地主義的音楽療法士」の統合的構成要素が浮かび上がった。「心的外傷のナラティブが主要な部分を占めることによって定義される均質的グループとしての難民」と「ユニバーサル言語としての音楽即興」という概念が、音楽療法士がそのしごとを報告する仕方に影響を与えているとみられる。これらの発見と、エンパワメントを促したり難民の人々の声を代弁するような音楽療法実践とを考え合わせ、議論される。
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