EBPムーブメントは,音楽療法にとって本当に脅威なのだろうか?

著者

  • Masako Otera Tohoku University

DOI:

https://doi.org/10.15845/voices.v13i2.696

キーワード:

evidence-based practice, evidence-based- medicine, randomized controlled trial

要旨

本稿では,音楽療法におけるエビデンスに基づいた実践 (Evidence-based practice: EBP in music therapy) について,EBM (Evidence-based Medicine: EBM) にまつわる誤解や様々な解釈,心理学領域におけるEBPの問題に関する斎藤の論考を参考にしながら議論を行っていく。EBPの流れは,音楽療法にとって脅 威として受け取られる傾向にあったものの,近年のEBMやEBPに関する議論は,音楽療法におけるEBPを考えるにあたり有利に働くものである。本稿は, 多様なエビデンス,臨床能力,クライエントの個別的ニーズを統合することがEBPであるというコンセンサスがすでに形成されていることを示す。その一方 で,無作為割り付け試験 (Randomized-Controlled Trials: RCT) や標準化された介入プロトコールの導入については,未だに難しい問題を残していることについても言及する。EBPは,非常に複雑で個々のバイアスに左右さ れやすい問題である。したがって,音楽療法士が,EBPについて注意深く学び,効果的にEBPを取り入れていくことは音楽療法に利益をもたらすことにな る。筆者は,EBPを効果的に導入することを支持する立場であり,そのための理論や方法論の構築が急務であると考える。

Author Biography

Masako Otera, Tohoku University

Masako Otera, MT-BC, PhD, has been assistant professor at Tohoku University in Japan since 2010. Her clinical work includes providing music therapy services to patients with terminal cancer and the elderly with dementia.

出版済

2013-06-04

How to Cite

Otera, M. (2013). EBPムーブメントは,音楽療法にとって本当に脅威なのだろうか?. Voices: A World Forum for Music Therapy, 13(2). https://doi.org/10.15845/voices.v13i2.696

巻号

セクション

Original Voices