社会的つながりを広げるのか、固定化する抑圧を広げるのか:音楽への参加はジェンダー化した主観から解放されているか
DOI:
https://doi.org/10.15845/voices.v16i2.881キーワード:
フェミニズム, ジェンダー, 反抑圧的実践, コミュニティ音楽療法要旨
つながりと包摂とは、健康なコミュニティを構成する要素である。しかしながら、交差的フェミニストたちは、ジェンダー化したパワー構造を通して排除と周縁化が起きており、それがジェンダー、性的特質、人種、階層、障碍などを含む多重的・交差的軸において、世界中の個人やコミュニティの生活に影響を与えていると考えた(Crenshaw,1989)。伝統的音楽教育や音楽的ナラティブからジャズに至る芸術形式の音楽において、人びとがどのような楽器を選択するかを批判的に分析してみると、人種的、階層的、ジェンダー的秩序や、異性愛規範的ナラティブを特権化するような文化的バイアスの進行形の存在、そして男性の貢献による作品と重要化が浮かび上がる(Bradley, 2007; Gould, 2007; Maus, 2011)。コミュニティの音楽参加へのアプローチは、誰が参加できて誰が参加できないかを指示するようなモラル・ヒエラルキーから解放され、超越しようと求めてはいるものの、私は、こうしたことが、深く固定化したジェンダー秩序のコンテクストにおいて起き得るということを主張したい。あらゆる人間性のための音楽や音楽療法における、本質的で普遍的、あるいは解放的で連結的な質に焦点を当てることによって、我々は抑圧と周辺化の歴史を回避し、ぬぐい去ることができよう。本論では、男性支配的なジェンダー秩序を保持する音楽のコンテクストの文献を批判的な視点で探索し、音楽が社会的なつながりのための平等な機会を提供するような概念について問い、問題化することを試みる。Downloads
出版済
2016-06-14
How to Cite
Scrine, E. (2016). 社会的つながりを広げるのか、固定化する抑圧を広げるのか:音楽への参加はジェンダー化した主観から解放されているか. Voices: A World Forum for Music Therapy, 16(2). https://doi.org/10.15845/voices.v16i2.881
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