音楽的な始まり方によって親密さを育てること：新生児集中ケアユニットにおける両親の音楽的経験を通じたコミュニケーション的音楽性の応用の模索

要旨

本論は、両親と新生児集中ケアユニット（NICU）に入院している乳児の親密さの育成における音楽的瞬間の力強い役割について考える。Malloch & Trevarthen（2010a）のコミュニケーション的音楽性の理論を基盤として、人生の始まりにおける親密さを支える音楽の可能性について両親がより深い理解をするという視点をさらに模索し、早期の音楽的相互やりとりの基礎となっているこの理論への批判的かつ現代的視点を示す。筆者の博士研究から、音楽的瞬間の共有がNICUに入院している乳児と両親との親密さを育てるふたつの症例場面を例にあげ、音楽的な始まりがどのように親密さを育てるかを探索する際に、コンテクストと文化を考慮する必要性があることを述べる。