音楽という親密な媒体を使うときの療法的バウンダリーに関する考察

著者

  • Laura Medcalf

DOI:

https://doi.org/10.15845/voices.v16i2.873

キーワード:

療法的バウンダリー、音楽的親密さ、音楽療法

要旨

療法的バウンダリーに関する伝統的な理解は、健康ケアの実践の幅広い領域を通じて共通する概念である。音楽と健康ケアのしごとに関わるたくさんの療法士たちも、その実践の倫理的行動を決定する際、これらの考え方を適用している。一部の療法士にとっては、こうした実践の方法が、今もきわめて適切であろう。しかしながら、より新しい療法モデルや、より現代的なコンテクストでしごとをしている療法士たち、例えばコミュニティ音楽療法などでは、バウンダリーに対してもっとずっと直観的で内省的なアプローチに価値を置いていよう。さらに、文化やコンテクスト、そして音楽のもつ力の影響もまた重要である。音楽の実践者たちは、人びととの音楽活動を通じて、つながりの力強い瞬間を経験している。音楽は親密で個人的な相互やりとりを誘発する媒体であり、それは、療法的バウンダリーというコンテクストにおいても考慮されなくてはならない。音楽的親密さという新しい用語は、人びとと音楽活動をする際の親密な性質や、そこに現れうる脆弱生に療法士達が気づく助けとなることだろう。また、それは、健康とウェルビーングのしごとにおいて音楽を使う際に示されるバウンダリーの複雑さについて模索・省察することへと、療法士たちを促すことだろう。

Author Biography

Laura Medcalf

Laura Medcalf is an Australian registered music therapist who is currently a PhD candidate at The University of Melbourne, Australia with the National Music Therapy Research Unit.Her research is a grounded theory study examining how 20 international music therapists describe negotiating boundaries in the musically intimate context of practice.

出版済

2016-04-04

How to Cite

Medcalf, L. (2016). 音楽という親密な媒体を使うときの療法的バウンダリーに関する考察. Voices: A World Forum for Music Therapy, 16(2). https://doi.org/10.15845/voices.v16i2.873